英語の勉強におすすめのYoutubeチャンネル

アメリカに留学するために英語を勉強していた際、Youtubeには大変助けられました。(今でも助けられています。)

他にも英語の勉強におすすめのチャンネルをまとめているブログ等はありますが、若干情報が古かったりするので、2023年1月時点でおすすめのチャンネルをまとめたいと思います(主に中級者向けです。)。

  1. BBC Learning English
    • イギリスの公共放送局BBCが英語学習者向けに提供するチャンネル。6 minutes Englishというポッドキャスト(ラジオ)を通学・通勤中に聞くのがおすすめ。6 minutes Englishを複数まとめたBox Setというものも用意されていてありがたい。
  2. VOA Learning Englilsh
    • Voice of Americaが英語学習者向けに提供するチャンネル。BBC Lerning Englishよりもスピードはゆっくり目なので、初級者以上・中級者未満の人にもおすすめ。
  3. Voice of America
    • VOA Lerning Englishではゆっくりすぎるという方にはこちら。
  4. Wall Street Journal
    • 最新の経済ニュースを確認できるので見ていて楽しい。
  5. CNN 10
    • アメリカのメディアがStudent向けに提供するチャンネル。旧名はCNN Student News。話すスピードはそれなりに速いが、Student向けなので内容は分かりやすい。
  6. あいうえおフォニックス
    • 日系アメリカ人の親子が提供するチャンネル。日本語をベースに、英語を織り交ぜて発音などの解説をしてくれる。他のチャンネルで疲れた際にでも見ると結構勉強になる
  7. Gariben TV
    • 色々な英語のスピーチや会話に字幕を付けて提供しているチャンネル。興味深い内容が多く字幕も大きいので、最初のうちはかなりお世話になった。
  8. CNN
    • CNN 10は段々と飽きてくるので、もう少し本格的なニュースを見たい方はこちら。
  9. CNBC
    • CNNと用途はほぼ同じ。
  10. MJ and Adam Show
    • もともとスピードラーニングが提供していたSpeak Up Radioというチャンネルを、出演していたMJとAdamが承継したもの。正直Speak Up Radio時代の方がクオリティは高かったが、いまでも適度なスピードで楽しい会話を聞かせてくれるのでたまに見ている。

基本的にニュースは比較的ゆっくりとはっきりとしゃべってくれるのでおすすめです。

他にもTEDなどがありますが、中級者ぐらいだとアタリハズレがあるので含めていません。

BBCはイギリス英語、その他は基本的にアメリカ英語ですが、色々なアクセントを聞くことはよい訓練になるので、併用するのがおすすめです。

同性婚について考えてみた②

前回の記事では、2021年3月17日に札幌地裁で下された同性婚に関する判決をご紹介しました。

私はこの札幌地裁判決にかなり納得しており、判決の立場を支持しています。

つまり、同性カップルが婚姻と同じような利益を得られる制度を作らないと、法の下の平等を定める憲法14条1項に違反するという立場です。

(なお、「婚姻」ではなく「婚姻と同じような利益を得られる制度」としているのは、公式にパートナーとして認められ利益を受けられる制度があれば、呼び方は「婚姻」ではなくても足りると考えているためです。「婚姻」という呼び方にこだわる方もいるでしょうが、私は呼び方は本質ではないため何でもいいと思っています。「婚姻」という呼び方を使うことに反対するわけでもありません。)

 

この判決でも述べられているとおり、憲法14条1項は合理的理由のない区別を禁止しています。そのため、憲法14条1項に違反するかを判断するためには、異性カップルに婚姻を認める一方で同性カップルには婚姻を認めないという区別について、合理的理由があるかが検討されなければなりません。

 

そこで、今回は、同性婚に反対する立場からの意見を1つ1つ検証し、婚姻について異性カップルと同性カップルを区別する「合理的理由」があるのかを説明したいと思います。

 

0.「同性カップルを邪魔しなければ足りるのではないか。婚姻を求める理由が分からない」という意見

 

男女が結婚した場合、例えば以下のような利益を得ることができます(あくまで一例です)。

  • 配偶者の相続権が認められる
  • 配偶者の相続税額が軽減される
  • 所得税配偶者控除が認められる
  • 同じ戸籍に入ることができる
  • 一方の配偶者が外国籍の場合、配偶者ビザを取得することができる

 

しかし、現行法上、同性カップルはこのような利益を得ることができません。例えばパートナーに財産を残したいと考えたとしても、わざわざ遺言や遺贈の手続きを行わなければなりませんし、そのような手続きを行ったとしても親族らから異議を述べられる可能性があります。そのため、婚姻が認められることは、同性カップルにとっても重要なのです。

 

1.「婚姻は子供をつくり育てることを保護するための制度である。同性カップルは子供をつくることができないため婚姻を認めるべきではない」という意見

 

確かに、同性カップルは基本的には子供をつくることができません。そして、「婚姻は子供をつくり育てることを保護するための制度である」という意見は、一見すると不合理とまでは言えないようにも思われます。

しかし、異性カップルであっても子供をつくることができない場合はあります。また、異性カップルが自ら子供をつくらないことを選択する場合もあります。そして、現行法上、子供を持たない異性カップルにも婚姻は認められています。「不妊カップルや子供をつくる意思のないカップルに婚姻を認めるべきではない」などと主張する人はほとんどいないでしょう。

つまり、「婚姻は子供をつくり育てることを保護するための制度である。同性カップルは子供をつくることができないため婚姻を認めるべきではない」という意見は、現在の制度と矛盾するのです。したがって、この意見も妥当とは思えません。

なお、さらに言うと、同性カップルであっても養子を受け入れて育てることは可能です。したがって、同性愛者の婚姻を認めることで子供の数が増える可能性もあります。

 

2.「同性カップルの婚姻を認めると少子化につながる」という意見

 

現在までの研究によれば、同性愛者か異性愛者かという性的指向は先天的なものであり、後天的に変化するものではないという見解が支配的なようです。

そうだとすれば、同性愛者間の婚姻を禁止したからといって、同性愛者が異性と結婚して子供をつくるようになるとは思えません。また、逆に、同性愛者間の婚姻を認めたからといって、異性愛者が同性と結婚するようになって子供の数が減るとは思えません。

むしろ、同性カップルであっても養子を受け入れて育てることは可能なので、同性愛者の婚姻を認めることで、社会全体で育てることのできる子供の数が増える可能性もあります。

したがって、現在の知見を前提にする限り、「同性カップルの婚姻を認めると少子化につながる」という意見も妥当とは思えません。

 

3.「同性愛は精神疾患であるため、同性婚を認めるべきではない」という意見

 

民法の制定当時は、同性愛が精神疾患の一種で治療すべきものと考えられていたようです。

しかし、平成4年頃までに、同性愛は精神疾患ではないとする知見が確立し、さらに、性的指向は人の意思によって変更できるものではなく、また後天的に変更可能なものでもないことが明らかになったそうです。

そのため、現在の医学上は、同性愛は精神疾患ではなく、人種や性別と同じような先天的なものであると考えられています。

したがって、現在の知見を前提とする限り、「同性愛は精神疾患であるため、同性婚を認めるべきではない」という意見も妥当とは思えません。

 

4.「同性婚を認めると伝統的な家族観が破壊される」という意見

 

同性婚を認めると伝統的な家族観が破壊される」と感じる人がいるのは理解できます。しかし、伝統的にそのような制度になっていたという事実は、その制度の合理性の根拠にはならないのではないでしょうか。

例えば、身分や性別によって選挙権の有無が異なっていた時代もありましたが、現在、そのような制度を支持する人は少ないと思います。

また、昔は子供のアレルギーを避けるため、1歳まではピーナッツや卵を食べさせないことが推奨されていましたが、現在では、症状がないのであれば5ヶ月ぐらいから徐々に摂取したほうがよいと考えられているそうです。

他にも、昔は教師が生徒に指導する際にある程度の暴力を用いることが容認されていましたが、現在同じことをすれば問題になることがほとんどでしょう。

このように、従来の制度や考え方が合理的とはいえない場合は少なくありません。制度を変更してしばらくすれば、変更後の制度が社会に受け入れられるようになることも多いです。従前の制度が不合理なのであれば、それを変更することが必要になります。

つまり、「同性婚を認めると伝統的な家族観が破壊される」という意見は、「現在同性婚が認められていないからこれからも同性婚を認めるべきではない」という意見に過ぎず、同性婚を認めないことの合理的理由になるとは思えません。

 

まとめ

 

以上のように、同性婚に反対する立場からの意見は、いずれも婚姻について異性愛者と同性愛者を区別する合理的理由になるとは思えません。現在の知見を前提にすると、同性婚を認めても具体的な問題が生じるとは思えないのです。

 

そのため、最初に書いたとおり、同性カップルが「婚姻」と同じような利益を得られる制度を作らないと、平等権を定める憲法14条1項に違反すると考えています。

同性婚について考えてみた①

2021年3月17日、札幌地方裁判所において、同性カップルに婚姻から生じる法的利益を与えないことは憲法14条に違反する、とする判決が出されました。

 

NHKの記事

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210317/k10012919141000.html

 

この判決については様々な意見が述べられていますが、その多くは、「同性婚を認めないことを違憲とする判決が出た」という部分のみを見て、判決の内容をよく確認しないまま述べられているものだと思います。また、この判決は同性婚の是非について綿密に検討しており、私としてはかなり納得感のあるものでした。

そこで、今回はこの判決の概要をご紹介し、次回の記事において、同性婚についての私の考えを簡単に書かせていただこうと思います。

 

前提として、憲法14条1項と24条の内容は以下のとおりです。

第14条1項 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

第24条

1項 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

2項 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

 

【札幌地裁の判決の内容】

事案は、同性愛者カップルの原告らが、同性婚を認めていない民法と戸籍法の規定が憲法13条、14条1項、および24条に違反するとして、国家賠償法に基づき、国に対して損害賠償を求めたというものです。

 

札幌地裁は、憲法違反の主張について、以下のような判断をしました。 

1.憲法24条および13条について

  • 憲法24条1項が「両性の平等」、「夫婦」という文言を、また同条2項が「両性の本質的平等」という文言を用いていることなどからすれば、同条は、異性婚について定めているものであって、同性婚について定めるものではないと解される。そのため、法律が同性婚を認めていないことは、憲法24条には違反しない。
  • 憲法24条を上記のように解釈する以上、包括的な人権規定である憲法13条が、同性婚をする権利を保障しているものと解することは困難である。

 

2.憲法14条1項について

以下の理由などから、同性愛者に対して「婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないとしていること」は、憲法14条1項に違反する。

  • 憲法14条1項は、合理的根拠を欠く区別取扱いを禁止している。

 

  • 同性愛者が異性との間で婚姻することができるとしても、異性愛者と同等の法的利益を得ているとみることができないことは明らかであり、性的指向による区別取扱いがなされている。そのため、その区別取扱いについて、合理的根拠があるかを検討しなければならない。

 

  • 合理的根拠の有無について
    • 性的指向は、人がその意思で決定するものではなく、人の意思または治療などによって変更することも困難なものであることは、確立された知見に至っている。そうすると、性的指向は、性別、人種などと同様のものということができる。このような人の意思によって選択・変更できない事柄に基づく区別取扱いが合理的根拠を有するか否かの検討は、真にやむを得ない区別取扱いであるか否かの観点から、慎重に検討されなければならない。

 

    • 民法の制定時において、同性婚が認められないものと解されていたのは、同性愛が精神疾患の一種で治療すべきものとされていたためである。憲法24条が同性婚について触れていないのも、そのような理解が前提になっていたからである。しかし、平成4年頃までには、同性愛は精神疾患ではないとする知見が確立し、さらに、性的指向は人の意思によって選択・変更できるものではなく、また後天的に変更可能なものでもないことが明らかになった。したがって、同性愛が精神疾患であることを前提として同性婚を否定した科学的、医学的根拠は失われた。

 

    • 法律の規定は、夫婦が子を産み育てながら共同生活を送るという関係に対して法的保護を与えることを、重要な目的としていると解される。しかし、現行民法は、子のいる夫婦といない夫婦、生殖能力の有無、子をつくる意思の有無による夫婦の法的地位の区別をしていない。また、子を産み育てることは、個人の自己決定に委ねられる事柄であり、子を産まないという夫婦の選択も尊重すべき事柄といえる。さらに、民法制定時においても、子を産み育てることが婚姻制度の主たる目的とされていたものではなく、夫婦の共同生活の法的保護が主たる目的とされていた(※明治民法の制定過程においては、生殖能力のない夫婦の結婚を認めるかの議論があったが、最終的に、老年者や生殖不能な者の婚姻も有効に成立するとの見解が確立された。)。したがって、子の有無、子をつくる意思・能力の有無にかかわらず、夫婦の共同生活自体の保護も、法律の重要な目的であると解される。さらに近時においては、子を持つこと以外の婚姻の目的の重要性が増している。

 

    • そうすると、婚姻の本質は、両性が永続的な精神的および肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあるが、同性愛者であっても、その性的指向と合致する同性との間で、婚姻している異性同士と同様、婚姻の本質を伴った共同生活を営むことができる。

 

    • 上記のとおり、憲法24条が同性婚について触れていないのは、同性愛が精神疾患とされており、同性愛者は正常な婚姻関係を築けないと考えられていたからであるが、現在においては、その知見は完全に否定されるに至った。また、そもそも憲法24条は、同性婚について触れるものではないため、同性愛者が異性愛者と同様に婚姻の本質を伴った共同生活を営んでいる場合に、これに対する一切の法的保護を否定する趣旨を有するものとは解されない。

 

    • 性的指向による区別取扱いを解消することを要請する国民意識が高まっていること、および今後もそのような国民意識が高まり続けるであることは、考慮すべき事情である。

 

    • 諸外国において同性愛者のカップルと異性愛者のカップルとの間の区別取扱いを解消するという要請が高まっていることも、考慮すべき事情である(※25か国以上で同性婚または登録パートナーシップ制度が認められており、G7参加国で認めていないのは日本だけ)。

 

    • 同性婚に対する否定的な意見や価値観を持つ国民が少なからずいることも、また考慮されなければならない。しかし、同性愛は精神疾患ではなく、自らの意思に基づいて選択・変更できるものでもない。圧倒的多数派である異性愛者の理解または許容がなければ、同性愛者のカップルが婚姻によって生じる法的効果を一切享受できないとするのは、同性愛者の保護にあまりにも欠ける。

 

    • (同性愛者のカップルでもあっても、契約や遺言により婚姻と同様の法的効果を享受することができるため不利益はない、という国の反論について、)婚姻は、契約や遺言など身分関係と関連しない個別の債権債務関係を発生させる法律行為によって代替できるものではない。そもそも、異性愛者であれば婚姻に加えて契約や遺言を利用できるのに、同性愛者には婚姻という手段がないのだから、不利益があるのは明らかである。加えて、配偶者の相続権についていえば、同性愛者のカップルであっても、遺贈や死因贈与によって財産を移転させることはできるが、遺留分減殺請求をうける可能性があるし、配偶者短期居住権についていえば、当事者の契約のみでは第三者に対抗することができない。

 

    • 以上のことからすれば、同性愛者に対して、婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないとしていることは、合理的根拠を欠く差別手取扱いにあたる。したがって、現行法の規定は憲法14条1項に違反する。

 以上のとおり、裁判所は、民法と戸籍法の規定が憲法14条1項に違反するとしましたが、現行法を改廃していなかったことは国家賠償法の適用下では違法とはいえないとして、損害賠償請求を認めませんでした。確かに、最高裁判所が示してきた国家賠償法の解釈からすると、損害賠償請求までを認めるのは難しいのではないかと思います。

 

なお、興味深いのは、この判決が、「同性婚を認めないこと」が憲法に違反するとは述べておらず、同性愛者カップルに「婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないとしていること」が憲法に違反するという、微妙な表現を用いているところです。

この表現からすると、札幌地裁としては、同性カップルの「婚姻」を認めなくても違憲ではないが、認定パートナーシップ制度などにより、婚姻と同じような利益(相続権など)は与えなければならないと考えているということだと思います。(報道などでは、「『同性婚を認めないことは違憲である』と裁判所が判断した」などと書かれていることが多いですが、厳密にはこのような書き方は不正確ということになります。)

このような表現を用いている理由は、「婚姻」という日本語の(法律とは関係ない)元々の意味からすると同性婚を含めるのは難しいかもしれないというものと、憲法24条1項が「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」としていることとの矛盾を避けるというものがあるのではないかと想像しています。

 

マスクの転売でついに逮捕者が!

2020年6月1日に、マスクの転売による初の逮捕者が出ました。

 

「マスク1万6000枚転売の疑い 高松の会社社長を逮捕 全国初」(NHK News Web)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200601/k10012454001000.html

 

マスク1万6000枚を1枚当たり約5円上乗せした価格で転売した容疑とのことですが、このニュースに対し、

 

・「たった5円上乗せしただけで逮捕されちゃうの?」

・「これぐらいは不当な高額転売には当たらないんじゃない?」

 

といった意見が散見されました。

 

しかし、大まかにいうと、法令は以下のようなマスクの転売を禁止しています。

 

  1. スーパー、ドラッグストア、ネット通販など、相手を選ばずに販売している人から購入したマスクを、
  2. 不特定または多数の人に対して、
  3. 購入時より少しでも高い値段で売却する行為

 

そのため、仮に1枚当たり5円しか上乗せしていないとしても、相手を選ばずに販売している人からマスクを購入し、そのマスクを不特定または多数の人に対し売却したのであれば、法令に違反することになるわけです。

 

そして、今回逮捕されたのはクリーニング会社の役員で、輸入販売業者から購入したマスクを販売していたということですが、通常、輸入販売業者がクリーニング会社の役員を個別に選んでマスクを販売することはありません。そのため、この輸入販売業者は、相手を選ばずに誰彼構わずマスクを販売していたのでしょう。

 

したがって、今回の行為は法令に違反する可能性が高いため、手続的な違反がない限り、逮捕に問題はないと考えられます。

 

なお、スーパーやドラッグストアなどが、通常の取引ルートでマスクを仕入れて販売している場合、仕入先は相手を選んで販売している業者(卸売業者など)であることが通常なので、法令には違反しません。法令は、普通の小売業者まで法令に違反することになってしまわないよう、きちんと配慮しているのです。

 

以下、ご参考までに詳しく記載しておきます。

 

1 どの法律でマスクの転売が禁止されているのか?

 

マスクの転売は、「国民生活緊急措置法」と「国民生活安定緊急措置法施行令」によって、2020年3月15日から禁止されています

 

コロナ禍でマスクの不足や転売が社会問題になったことをうけて、政府は施行令を改正し、マスクの転売を禁止しました。

 

これに違反してマスクを転売した場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方を課されるおそれがあります

 

2 どれぐらいの利益を上乗せすると違反になるのか?

 

禁止されているのは、「購入価格を超える価格」でマスクを転売する行為です。つまり、購入価格よりも0.1円でも高く転売すれば、法令に違反することになります。

 

「購入価格」には、消費税や送料等を含みます。そのため、例えば、購入価格が1000円(消費税80円)で、購入時に送料として100円を支払った場合には、1180円以内で転売すれば、法令には違反しないことになります。

 

転売時については、転売価格と送料等の合計額が「購入価格」を超える場合であっても、転売価格が「購入価格」以下であり、かつ、送料等が一般的な範囲の金額である限り、法令には違反しません。しかし、送料等が一般的な金額に比べて明らかに過大であるときは、法令に違反します(厚生省ほか『国民生活安定緊急措置法による転売規制についてのQ&A』Q5-6)。

 

3 禁止されるマスクの「転売」とは?

 

禁止されるマスクの「転売」とは、「不特定の相手方に対し売り渡す者」から購入したマスクを、不特定または多数の人に対して販売する行為のことをいいます。

要するに、スーパー、ドラッグストア、ネット通販など、相手を選ばずに販売している人からマスクを購入し、それを不特定多数の人に販売する行為が「転売」に当たるということです。

 

そして、小売業者や卸売業者などが、通常の商取引において製造業者や輸入業者から仕入れたマスクを販売する行為は、「転売」には当たらず、規制の対象外です

なぜなら、通常の商取引では、製造業者や輸入業者は、相手方を特定して製品の販売を行っていると考えられるからです(上記Q&AのQ4-1参照)。

 

ただし、製造業者や輸入事業者が相手を選ばずにマスクを販売していた場合(ネットで売っていた場合や誰彼構わず声をかけて売っていた場合など)には、そこから仕入れたマスクを不特定多数の人に販売する行為は「転売」に当たり、規制対象となります(上記Q&AのQ4-1およびQ4-3参照)。